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▶ 撮像時間の設計:臨床的に運用できるように,できるだけ30分程度で実行できるように工夫する。このため,スキャン時間の合計が20分を超えないこと(できれば17分程度になること)を目標に設計する。
▶ 脂肪抑制法の選択:拡散強調像(DWI;diffusion–weighted image)の脂肪抑制として非選択的脂肪抑制法(STIR;short inversion–time inversion recovery)を採用すると,①均一な脂肪抑制,②病変と周囲コントラストの向上(例:肝腫瘍と肝実質,腹腔内腫瘍と消化管内容物など)に役立つ。また背景信号抑制を良好に得るために,b値は1,000(s/mm2)を目標にする。
▶ b値の決定:b値を大きく設定するとエコー時間(TE;echo time)が長くなるが,TEが90ms以上になると信号雑音比(SNR;signal–to–noise ratio)が不良になり,病変の検出能力がかえって下がる場合もある。gradient powerが不足する機種の場合はb値を少し下げてSNRを保つ。
▶ 赤色髄の抑制:DWIで高信号を示す赤色髄は,ときに骨内病変の描出を妨げる。一般に3Tのほうが骨髄信号が目立たなくなる(抑制できる)が,1.5Tのほうが安定した画質が得られ,歪みも少ないことが多い。機種によってパラメータを調整する。化学療法後の汎血球減少に対する治療(G–CSF投与)後や,貧血が強い場合など,赤色髄の信号が目立つ場合は,前項にかかわらず意図的にTE 100msで撮像すると骨髄信号を抑制するのに役立つ。
▶ 分解能の設定:DWIがほかの画像と異なるのは,k–space上で加算されるのではなく,1回1回実画像が得られたものを加算することである。k–space上で加算されるときはノイズが多くても加算効果が得られるが,実画像上でノイズに埋もれてしまった信号は,加算してもみえるようにはならない。このため,「加算回数1回において腫瘍の信号がノイズを上回るように撮像して初めて加算効果が出る」ことを意識し,目的をもって画素の大きさを大きく保つことにより良好な腫瘍描出が得られる。reduced FOVなど局所励起技術を用いるときはこの限りでないが,常に上記を意識した撮像(依頼)をすることを心がけるとよい。
▶ 組み合わせるべき他画像:広範囲拡散強調背景信号抑制(DWIBS;diffusion weighted whole body imaging with background body signal suppression)像以外に,T2強調像やin–phase(IP)/out–of–phase(OP)(あるいはopppose)像も施行し,DWIBS像で高信号を示す病変がどこにあるのか,ほかの画像でどのような信号強度を示すのかで判断をする。そのほか,MR–hydrography[(多くは磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP;magnetic resonance cholangiopancreatography)像]なども組み合わせる。
▶ 白黒反転:FDG–PETやDWIBS像など,コントラストが高い画像を用いて小さい病変を検出するときには,通常画像の読影とは様相が異なる。小さい病変を検出しようとするとき,背景が黒いと散瞳してピントが合いにくくなるが,背景が白いと縮瞳してピントが合いやすくなる。このため白黒反転してみることを推奨している。
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