特別特集 新型コロナウイルス感染症(COVID–19)を識る
Ⅱ COVID–19の画像所見【症例3】COVID–19肺炎と慢性心不全
麻生 真二郎
1
,
堀江 慧一
1
,
宇都 宮大輔
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 放射線診断学
pp.1306-1307
発行日 2020年11月26日
Published Date 2020/11/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000000473
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患者:60歳代,男性。2020年4月X日に呼吸苦と歩行困難を主訴に当院救急搬送となった。腰部脊柱管狭窄症術後で4月X–6日に前医を退院しており,その際の同室患者がCOVID–19 PCR検査 陽性であることが4月X–1日に判明していた。酸素10L投与下でSpO2 91%,呼吸数24回,体温36.4℃,血圧122/62mmHg,脈拍69回であった。 既往歴:狭心症,腎不全(透析導入後),糖尿病があった。また詳細不明だが喫煙歴があった。 画像所見:当院搬送後に体幹部CTが撮像され,両肺広範囲にすりガラス濃度域と小葉間隔壁肥厚(crazy paving pattern),コンソリデーションが認められた。顕著な心拡大が併存していたが,胸水の貯留は目立たなかった。肺炎と肺水腫を鑑別に挙げた。広範な両肺異常陰影を呈しているにもかかわらず,発熱がないことが肺炎として非典型的であった。その一方で,胸水貯留をきたしていないこと,病変部に容積減少が疑われたことが肺水腫として非典型的であった。
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