連載 ゲノム医療における画像の役割
第5回
胃癌
緒方 杏一
1
1群馬大学大学院医学系研究科総合外科学講座・消化管外科学分野(現:桐生厚生総合病院・外科)
pp.1054-1058
発行日 2020年9月26日
Published Date 2020/9/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000000382
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HER2蛋白過剰発現/遺伝子増幅は,乳癌では予後因子であるばかりでなく,分子標的薬の特異的治療ターゲットとなっている。一方,胃癌においては,予後因子としての意義は未確定であるものの,国際共同第Ⅲ相試験であるToGA試験でHER2蛋白過剰発現/遺伝子増幅を認める胃癌症例において,抗HER2薬剤の上乗せによる全生存期間延長効果が示された。『胃癌取扱い規約』では第14版以降,胃癌化学療法の治療効果判定としてRECISTを採用しているが,内視鏡やX線像による胃原発巣の評価は参考所見として別途記載することとしている。これは,日本におけるX線診断や内視鏡診断技術が世界的に卓越していることから,世界標準とはならないまでも,原発巣の判定基準を示しておく必要があるためである。ただし,4型胃癌に対する効果判定基準となる内視鏡所見は確立されていないことに注意を要する。HER2陽性胃癌の化学療法施行症例を提示し,画像診断,内視鏡所見を含む治療効果判定の実際について概説する。
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