学会を聞く
第37回日本軟骨代謝学会
中佐 智幸
1
T. Nakasa
1
1広島大学大学院人工関節・生体材料学
1Dept. of Artificial Joints and Biomaterials, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima
pp.963-965
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_963
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1.は じ め に
2025年3月7日(金)~8日(土)に,第37回日本軟骨代謝学会が名古屋市の今池ガスホールで開催された.会長は名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科教授の西田佳弘先生であり,テーマは,「軟骨代謝で洞見する疾患ダイバーシティ」であった(図1,2).
これまで日本軟骨代謝学会は,変形性関節症(OA)の病態・治療や軟骨損傷に対する軟骨再生に関するセッションが多かったが,スコープを拡げ,骨軟骨代謝性疾患や,軟骨性腫瘍といった軟骨代謝に関するさまざまな疾患から軟骨について考え,理解を深めることができるプログラムとなっていた.また,講演,シンポジウム,セミナーにおいて,基礎研究あるいは臨床それぞれにとどまらず両者が密接に絡み合った内容が中心であり,基礎研究が患者の治療につながることをあらためて再認識させられた.
開会式の西田会長の挨拶で本学会は始まったが,その中で特に印象に残ったのは,日本の整形外科医は臨床だけでなく基礎研究も盛んに行っており,海外から高い評価を得ているというお言葉で,たいへん勇気づけられた(図3).特別講演は京都大学iPS研究所の戸口田淳也先生,招待講演は,Duke University Department of Orthopaedic SurgeryのBenjamin Alman先生であり,偉大なphysician scientistの代表格であるお二人の先生の講演は,基礎研究と臨床を行う整形外科医にとってたいへん有意義なものであり,本学会の象徴であると感じた.

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