Japanese
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経験と考察
プロ野球選手の疲労骨折診断におけるMRIの有用性
Usefulness of magnetic resonance imaging in the diagnosis of stress fracture in professional baseball players
小松 秀郎
1
,
長島 正樹
2
S. Komatsu
1
,
M. Nagashima
2
1北里大学北里研究所病院総合スポーツ医学センター
2国際医療福祉大学三田病院整形外科
1Institute for Integrated Sports Medicine, Kitasato University Kitasato Institute Hospital, Tokyo
キーワード:
professional baseball
,
stress fracture
,
MRI
Keyword:
professional baseball
,
stress fracture
,
MRI
pp.673-679
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_673
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は じ め に
プロ野球の現場においても,ほかの競技と同様に骨折の発生を認める.その多くは死球や自打球などの硬式球による直達外力によるものであるが,選手同士の衝突や関節捻挫に伴って発生する場合もある.これらの骨折は受傷機転が明らかであり,単純X線像で診断困難な場合でも,CT撮影によりほぼ全例が確定診断にいたる.一方,疲労骨折の場合,受傷機転が不明なことや,初期の症状が比較的軽度で競技パフォーマンスが維持できることも多い.そのため病院を受診せずに競技を継続し,チームのトレーナーや医師の対応が遅れることが懸念される.さらに,疲労骨折は単純X線像のみでは診断がむずかしく,疲労骨折と診断されない,もしくは診断が遅れることが懸念される.疲労骨折が進行すると手術が必要となる場合があり,治療に長期間を要する.このような選手は公式戦の出場登録を抹消されるため,本人のみならず,チームへかかる負担も大きい.スポーツの現場では早期診断・早期治療が必須となる.
疲労骨折以外のスポーツ障害や外傷として,肉ばなれや,肩であれば関節唇や腱板損傷,肘であれば後方インピンジメント症候群や内側側副靱帯損傷など,野球選手にとって頻度が高いものが含まれる.われわれは外傷など明らかな受傷機転がない場合,疲労骨折だけでなくこれらの損傷の早期診断のために早い段階でMRIを実施し,早期診断・早期治療介入をめざしている.
本研究では,プロ野球1球団に発生した骨折のうち,疲労骨折を受傷した選手を対象に,MRI撮像を含めて疲労骨折の確定診断にいたった経緯や診断までの期間などを調査した.

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