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は じ め に
非骨化性線維腫(non-ossifying fibroma:NOF)・線維性骨皮質欠損(fibrous cortical defect:FCD)は,Jaffeら1)が提唱した主に小児や若年の大腿骨・脛骨などの長管骨の骨幹端に発生する頻度の高い腫瘍類似疾患である.世界保健機関(WHO)2)では皮質骨に限局したものがFCDで,骨髄腔に及ぶ病変はNOFとされる.NOF・FCDともに良性の紡錘形線維芽細胞の増生病変で,花むしろ状配列を示し,破骨細胞様多核巨細胞や泡沫細胞も含み,同様の組織像を呈する.
NOF・FCDの臨床像について,病変のサイズと硬化性変化に着目して,Ritschlら3,4)はstage A:病変が小さく卵円形で,わずかに多房性で辺縁硬化のない病変(図1a),stage B:多房性で薄い辺縁硬化像があり,サイズが増大した病変(図1b),stage C:骨幹部側から硬化像のみられる病変(図1c),stage D:完全に一様に硬化をきたした病変(図1d)に分類し,病変が経年変化をたどり,Stage CやDへと変化していくことを報告した.
治療方法としては,経過観察を中心とした保存療法が主体となる.しかしながら,現段階では本疾患をどのように,どの程度経過観察するのかは定型的な見解はない.骨折のリスク要因を検討した報告としては,Arataら5)は病変が横断面で50%以上であり,長軸方向33mm以上の症例であること,Baghdadiら6)は脛骨の病変について,占拠率が50%以上,stage B,皮質骨が菲薄化している症例は骨折のリスクが高いことを報告した.Hergetら7)はRitschl分類stage B,長軸径44mm以上,病変の占拠率が横断面で75%以上,矢状面で87%以上であれば骨折のリスクが高いとし,サイズの大きなstage Bはstage CまたはDになるまで,6~12ヵ月ごとの経過観察を推奨した.
NOF・FCDの経過観察はRitschl分類stage Bで,病変の占拠率が50%以上であることが骨折のリスクが高いとされる.本研究ではNOF・FCDと画像診断された症例で,stage B・占拠率50%以上の症例について,当科では適切に経過観察できているのかを,経過観察回数・期間を後ろ向きに調査した.また,病変のサイズと症状の関連性があるのかについても検討した.

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