NURSES' VIEW
臨床実習指導について思うこと
河野 保子
1
1新潟大学医療技術短期大学部看護学科
pp.25
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919439
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現在の新しい職場に変わって早くも6か月.職場への適応に戸惑いながらも,看護を学ぶ学生の新鮮で真摯な態度や,屈託のない明るさに励まされつつ毎日を過ごしている.看護のABCを学ぶ1年生と向かい会う時には,教育することの責任を強く感じ,多少マンネリズムの2年生には,看護への強烈な動機づけは何であろうかと考え,さらに3年生に対しては,臨床実習において学生自身の持つ看護の力をどのように引き出し,発展させてゆけばよいのかと模索し,それぞれに結論という結論も持てないまま,あくせく講義や実習指導に携わっている.
学生は臨床実習を体験することにより,はっきりと変化する.自己の内部に看護を確かなものとして受けとめ成長する者,看護に失望し挫折してゆく者,合理主義・ノルマ主義や傍観的態度で看護を受けとめる者など多種多様である.学生のこのような変化は,教育する者と教育される者との相互関係で論じられなければならないが,少なくとも,教育する側の教育的責任としては,将来,看護を担う学生の‘のびる可能性’を認め,導き出すということを考えなければならず,さらには,‘のびる可能性を持つ学生’を挫折させないということだといえよう.臨床実習で看護を学ぶ学生は,受け持ち患者を通して看護にふれてゆく.
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