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がんゲノム情報管理センター(C-CAT)
中田 英二
1
1岡山大学病院先端リハビリテーション講座准教授
pp.1326-1326
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1326
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1.がんゲノム医療
がんゲノム医療では,がん遺伝子パネルで同定した遺伝子の病的バリアントに基づいて臓器横断的(tumor-agnostic)に薬剤を選択する精密医療(precision medicine)が行われる.がん遺伝子パネルは次世代シークエンサーを用いてDNAの塩基配列のバリアントを検出し,数百種の遺伝子異常を一括に検出することができる(包括的がんゲノムプロファイリング).現在5つのがん遺伝子パネル検査が保険収載されている.がん遺伝子パネルは複数の病的バリアントや,マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI),遺伝子変異量(tumor mutation burden:TMB),再構成(rearrangement),増幅(amplification)などを検出する.薬剤選択などの介入が可能となる病的バリアントはactionable変異と呼ぶ1).これらの病的バリアントに対しては特定医薬品の適応判定(コンパニオン診断)となる2,3).軟部肉腫ではTP53,Rb1,CDKN2A/Bなどの変異がもっとも多く報告されているが,各組織型で特徴的な遺伝子異常が多く,実臨床では組織型と,遺伝子パネルで検出された遺伝子の病的バリアントなどのバイオマーカーに応じた治療戦略を立てる必要がある.肉腫では組織特異な融合遺伝子を有する場合が多く,DNA/RNAパネルであるGenMineTOPがんゲノムプロファイリングシステムが有用である.
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