Japanese
English
臨床経験
40年前の切創が原因と思われる長母指屈筋腱皮下断裂の1例
Pathologic Rupture of Flexor Pollicis Longus Tendon Caused by Old Laceration on the Wrist 40 Years Before
中島 秀人
1
,
政田 和洋
1
,
大野 博史
1
,
下村 裕
1
Hideto Nakajima
1
1防衛医科大学校整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, National Defense Medical College
キーワード:
皮下断裂
,
pathologic rupture
,
長母指屈筋腱
,
flexor pollicis longus tendon
,
滑膜炎
,
synovitis
Keyword:
皮下断裂
,
pathologic rupture
,
長母指屈筋腱
,
flexor pollicis longus tendon
,
滑膜炎
,
synovitis
pp.885-887
発行日 1991年7月25日
Published Date 1991/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900397
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抄録:約40年前に受傷した切創が原因と思われる長母指屈筋腱皮下断裂の1例を経験した.症例は48歳男性.作業中に旋盤から製品を外そうとした時,右母指を外転強制にて捻転し,以後,IP関節の屈曲不能に気づいた.既往歴として,小学校低学年時に転倒し,右手関節掌尺側に受傷したことがある.入院時現症から長母指屈筋腱皮下断裂および正中神経不全麻痺と診断し,手術を行った.手術時所見では,正中神経が手根管入口部で部分断裂,長母指屈筋腱は完全断裂,また示指深指屈筋腱は不完全断裂を呈していた.切創痕は尺側寄りにあり,40年前の受傷時に両屈筋腱に直接の外傷が加わったとは考えにくく,皮下断裂の原因は,正中神経断裂部周囲の滑膜炎が波及したことにより腱の脆弱化をきたし,さらに長母指屈筋腱についてはその走行の解剖学的特徴により,反復される機械的刺激が加わったためと考えられた.
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