仙腸関節脱臼を伴った脆弱性骨盤輪骨折の1例

Fragility fracture of the pelvic ring with sacroiliac joint dislocation：report of a case

　急速な高齢化に伴い軽微な外傷，あるいは明らかな外傷なしで発症する脆弱性骨盤輪骨折の頻度は増加し，入院治療例も増えている．後方要素の仙骨骨折に前方要素の恥坐骨骨折を合併し，転位がある場合には不安定性が高度で重症化することが多い^1）．重症例の早期離床のためには手術療法が必要であり，われわれは仙骨翼腸骨（SAI）スクリューを使用した腰仙椎腸骨固定を行っている．前方手術なしで仙骨骨折のみを強固に固定することにより，荷重制限のない早期歩行訓練が可能であり良好な手術成績が得られている^2）．