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連載 最新原著レビュー
手関節背側部痛を有する体操選手における手関節矢状面の運動学的異常
-――新しい症候群
Abnormal wrist sagittal kinematics in gymnasts with dorsal wrist pain
:a new syndrome
関口 貴博
1
T. Sekiguchi
1
1船橋整形外科クリニック理学診療部
1Dept. of Rehabilitation, Funabashi Orthopaedic Clinic, Funabashi
キーワード:
gymnasts
,
dorsal wrist pain
,
radiolunate joint
,
capitolunate joint
Keyword:
gymnasts
,
dorsal wrist pain
,
radiolunate joint
,
capitolunate joint
pp.1159-1161
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1159
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【要 旨】
目 的:X線像に明らかな異常所見を認めない体操選手の手関節背側部痛の病態は,依然として明確にされていない.本研究の目的は,手関節背側部痛を有する体操選手において手関節矢状面の運動学的異常を明らかにすることである.
対象および方法:対象は手関節背側部痛を有する男子体操選手19例,手関節痛のない男子体操選手18例,および手関節に既往のない健常成人男性20例とした.各群において手関節0°,30°,60°,90°伸展位に固定し,それぞれの肢位でMRI撮像を行った.橈骨月状骨関節,月状有頭骨関節,第3手根中手関節の関節角度および関節トランスレーションを測定し,3群間で比較した.
結 果:手関節90°伸展位において,疼痛群では橈骨月状骨関節角度が有意に低値(28.70°±6.28°)を示し,月状有頭骨関節角度が有意に高値(57.99°±6.15°)を示した.また,月状有頭骨関節の遠位方向へのトランスレーション(1.17±0.50mm)は無痛群よりも有意に大きかった.
結 論:手関節背側部痛を有する体操選手では,手関節矢状面の運動学的異常が認められた.この病態は “gymnast’s lunate dyskinesia” として,新たな症候群として認識される可能性がある.

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