誌説
意外と学ぶ機会が少ないむち打ち症治療の決まりごと
村田 泰章
1
1帝京大学ちば総合医療センター整形外科教授
pp.806-806
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_806
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交通事故による頚部痛を訴える患者を診察することは,整形外科医であれば日常よくあることです.明らかな神経学的異常所見が認められず,頚部周辺の痛みが主訴の場合,頚椎捻挫や外傷性頚部症候群など,いわゆる「むち打ち症」の診断となります.むち打ち症の治療には,医学的というよりも,社会的な常識とされるルールが存在します.しかし,われわれがこの「ルール」を学ぶ機会は少なく,これを知らないまま診療に従事している医師が多くいます.私は千葉大学整形外科に入局して,若い頃は関連病院を1年ずつローテートしておりましたが,このルールをしっかり教わったことはなく,たまにカンファレンスでその一部を耳にする程度でした.そんな時期を経て,都内の大学病院に異動となった頃に,自動車保険料率算定会の顧問医を務める機会や裁判意見書の依頼を多数いただき,だいたいのルールを理解しました.この場を借りて簡単に説明したいと思います.
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