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特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅳ章.放射線被曝と薬剤に対する安全配慮
3.整形外科領域における周術期抗血小板薬・抗凝固薬の管理
Perioperative antiplatelet and anticoagulant management in orthopaedic surgery
雪澤 洋平
1
,
小林 直実
1
,
稲葉 裕
2
Y. Yukizawa
1
,
N. Kobayashi
1
,
Y. Inaba
2
1横浜市立大学附属市民総合医療センター整形外科
2横浜市立大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yokohama City University Medical Center, Yokohama
キーワード:
aspirin
,
direct oral anticoagulant(DOAC)
,
perioperative discontinuation
Keyword:
aspirin
,
direct oral anticoagulant(DOAC)
,
perioperative discontinuation
pp.636-640
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_636
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は じ め に
静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物的予防として,整形外科医が新規に抗凝固薬などを使用する機会は多くなった.近年は国内外のガイドラインを参考にしたVTE予防マニュアルが各施設で作成され,抗凝固薬に不慣れな整形外科医においても安全な指針のもとで抗凝固療法を施行できるようになった.一方,整形外科診療の中で抗血小板薬や抗凝固薬をすでに服用している症例にもしばしば遭遇する.心血管疾患の有病率の増加や新規薬剤の開発などにより,周術期の薬剤管理が複雑と感じる症例も少なくない.VTE予防の領域では頻繁に「血栓」と「出血」のリスクバランスという用語が用いられるが,このような症例においては「併存疾患(VTE以外の血栓塞栓症)のリスク」も加味する必要があり,薬剤管理の臨床的な判断が症例ごとに求められる.
本稿では,抗血小板薬および抗凝固薬の周術期管理について,文献・ガイドライン・薬理作用などさまざまな側面から,整形外科診療での対応について述べる.
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