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は じ め に
頚椎前方手術(ACSS)は頚椎椎間板ヘルニア,頚椎後縦靱帯骨化症,頚椎化膿性椎間板炎などさまざまな病態に対して一般的な脊椎手術であり,良好な術後成績が報告されている1).一方で頚椎前方手術後の重篤な合併症に気道閉塞があげられ,対応の遅れなどにより低酸素脳症や死亡など重大な転帰をたどることがある.最近,医療事故調査・支援センターから,頚椎前方手術も含めた頚部手術(外科・耳鼻科・歯科口腔外科)の術後に気道閉塞で死亡した症例が発生したことを受け,「医療事故の再発防止に向けた提言」が刊行された2).
頚椎前方手術後の気道閉塞は0.57~6.1%の頻度で生じると報告3)されており,その危険因子は高齢,男性,るい痩,肥満,喫煙,内科的併存症・長時間手術,出血量,多椎間手術,上位頚椎手術,前後合併手術と報告4)されている.これらの危険因子をもつ症例で手術後抜管しない基準や管理方法を提案した報告5~7)はあるが,若く基礎疾患のない症例の1椎間の頚椎前方手術でも術後気道閉塞は起こりうる.
「医療事故の再発防止に向けた提言」2)では,術後気道狭窄の徴候の観察と迅速な対応が可能な体制づくりが提案されているが,頚椎前方手術後に看護師を含む医療従事者の観察点と対応を規定したプロトコルはこれまでに報告がない.
われわれの施設では「医療事故の再発防止に向けた提言」2)に加えて,英文での症例報告を渉猟6~22)した結果23)をもって,独自の頚椎前方術後の術後管理プロトコルを策定・実践している.本稿では過去に報告された症例報告から頚椎前方術後の気道狭窄をきたした症例の徴候のレビューを行い,当院で実施している術後管理プロトコルを紹介する.
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