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外傷性肩関節前方不安定症に対するopen modified inferior capsular shift法の長期術後成績
-――20年以上の経過観察
Long-term outcomes of open modified inferior capsular shift for traumatic anterior shoulder instability:over 20 years of follow-up
鷹取 直希
1
N. Takatori
1
1東海大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Surgical Science, Tokai University, School of Medicine, Isehara
キーワード:
traumatic anterior shoulder instability
,
modified inferior capsular shift procedure
,
long-term outcomes
Keyword:
traumatic anterior shoulder instability
,
modified inferior capsular shift procedure
,
long-term outcomes
pp.381-383
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_381
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【要 旨】
目 的:外傷性肩関節前方不安定症に対する手術方法はさまざま存在する.本研究では,当院におけるopen modified inferior capsular shift(open-MICS)法の術後20年以上経過観察した長期成績について調査を行ったので報告する.
対象および方法:当院で外傷性肩関節前方不安定症に対してopen-MICS法を施行し,術後20年以上調査可能であった84例86肩を対象とした.術後再(亜)脱臼率,再(亜)脱臼群と非再(亜)脱臼群の2群における患者背景と,Western Ontario Shoulder Instability Index(WOSI),Roweスコアを比較・検討した.また肩関節可動域の健患側差,筋力の健患側比を調査した.
結 果:再(亜)脱臼は9肩(10.5%)に認めた.再(亜)脱臼群と非再(亜)脱臼群の背景に有意差はなかったが,両スコアで再(亜)脱臼群が有意にわるかった.再(亜)脱臼を認めた症例は全例男性で,外傷を契機としており,術後年数による発生頻度の減少は認めなかった.また,患側の下垂位外旋位で可動域制限と筋力低下を認めた.
結 論:Open-MICS法は解剖学的構造をかえずに,多方向性肩関節不安定症を改善する術式である.本研究の長期術後成績は,これまでの報告と同様に外旋機能の低下を認めたが,再(亜)脱臼率はほかの術式と同程度であり有効な術式であった.また,再(亜)脱臼を認めた症例は全例男性で外傷が原因であり,術後年数による発生頻度の減少は認めなかった.そのため,術後は可能な限り経過観察を行う必要があると思われる.
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