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【要 旨】
目 的:われわれは低濃度麻酔薬を使用し,知覚神経のみをブロックすることで術中自動運動を可能とする低濃度腕神経叢ブロック法(low-concentration brachial plexus block:LCBB)を考案し行っている.本稿ではその麻酔効果を検討したので報告する.
対象および方法:LCBBにより手外科手術を行った38例(男性14例,女性24例,平均年齢60.0歳)を対象とした.麻酔は0.6mg/mlに希釈したロピバカイン30~40mlを用いて,手術開始2時間前にエコーガイド下に鎖骨上窩腕神経叢ブロックを行った.術中に除痛不十分な場合には局所麻酔薬(LA)による局所浸潤麻酔を追加した.手術はターニケットを使用して行い,術中自動運動を確認する際には1分程度解除した後に行った.これらの症例に対し,LCBBから手術までの時間(WT),手術時間(ST),合計ターニケット時間(TT),LA追加を行った症例数,使用したLA量(1%リドカイン換算),そして術中自動運動施行時の筋力(徒手筋力検査で4以上あるか否か)を検討した.
結 果:WTは平均137.0分,STは平均124.6分,TTは平均70.6分であった.2例で麻酔効果が不十分であったためほかの麻酔方法(静脈内区域麻酔1例,通常濃度の腕神経叢ブロック1例)への切り替えが必要となったが,その2例を除くとLAを追加した症例は22例(61.1%)で,使用したLA量は平均8.7mlとなり,術中自動運動時の筋力は33例(91.7%)で徒手筋力検査で4以上が維持されていた.結果的に38例中36例(94.7%)でLCBBによる手術遂行が可能であった.
結 論:LCBBは局所麻酔薬の追加が必要となることがあるが,術中自動運動の確認とターニケットの使用を可能とする有用な麻酔法である.
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