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人工タンパク質
辻 駿矢
1
1広島大学整形外科
pp.154-154
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_154
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人工タンパク質とは人工的に設計されたアミノ酸配列を有するタンパク質である.人工タンパク質を作製する方法は有機合成による化学的手法1)や大腸菌などの宿主を用いて遺伝子工学的につくる方法がある.人工タンパク質の応用としては,人工クモ糸繊維(Spiber社)やバイスペシフィック抗体(中外製薬社など)といった日常品から医薬品など多岐にわたる.組織工学分野では天然に存在するタンパク質であるコラーゲン,エラスチン,シルクフィブロインなどをベースに,アミノ酸配列をモディファイしたものや複数のタンパク質のアミノ酸配列を組み合わせたキメラタンパク質やポリペプチド鎖の研究が多くなされている2,3).たとえば坐骨神経切断ラットモデルを用いた研究では,エラスチン配列に軸索伸長を促進するフィブロネクチン由来の生理活性配列を組み込んだエラスチン様タンパク質のハイドロゲルの神経再生効果を調べた.その結果,エラスチン様タンパク質を投与した群で神経の再生が認められ,再生時の支持骨格として機能していることが示唆された4).
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