誌説
医師の働き方の新ルールのなか思うこと
中川 匠
1
1帝京大学整形外科教授
pp.1306-1306
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1306
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時が過ぎるのは早いもので,整形外科医として勤務して30年以上が経過した.この間,医療技術は大きく進歩した.関節リウマチに対する生物学的治療は現在では当たり前のように行われているが,私が医師になりたての頃はメトトレキサートすらも使用されておらず,その他の従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDs)やステロイドの内服くらいしか選択肢がなかった.発症後数年で関節破壊・変形が進行していく症例が少なくなく,滑膜切除術や関節固定術などの外科的治療が多く行われていた.私自身が専門としている膝関節外科の分野でも,術式や手術機器が大きく進歩した.私は学生時代にスポーツで複合靱帯損傷を受傷し,膝前十字靱帯(ACL)再建術を受け整形外科医の道に進むことになった.当時受けた術式は腸脛靱帯を再建靱帯にした関節内外再建手術であったが,使用する再建靱帯や骨孔作成方法をはじめとして術式も大きく進歩した.このように医療技術の進歩には目覚ましいものがあるが,当時と大きく変わらずに非効率的な業務を続けている分野がある.
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