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【要 旨】
目 的:寛骨臼の被覆は大腿骨頭への機械的ストレスと関連しており,大腿骨頭壊死症(ONFH)における大腿骨頭圧潰と関連している可能性がある.本研究の目的は,大腿骨頭圧潰と寛骨臼被覆およびそれに関連するpelvic incidence(PI),ならびにONFH分類システムとの関連性を明らかにすることである.
対象および方法:初診時に大腿骨頭圧潰を認めなかった101例101関節(男性50例,平均年齢44歳)を対象とした.初診時から12ヵ月以内に大腿骨頭に圧潰を認めた群(圧潰群,35関節)と,認めなかった群(非圧潰群,66関節)の2群に分けた.CTを用いて,lateral center-edge angle(LCEA),anterior and posterior center-edge angle,anterior and posterior acetabular sector angle,PIを測定し,これらのパラメータの差を2群間で検討した.差異が認められたパラメータについて,大腿骨頭圧潰に対する閾値を調査した.また,壊死領域をJapanese Investigation Committee(JIC)分類とSteinbergグレード分類を用いて評価し,パラメータと分類との関係を検討した.
結 果:平均LCEAは,非圧潰群,圧潰群で32°と28°であり有意差があった(p=0.005).その他のパラメータに有意差はなく,LCEAは圧潰と関連を認めており[オッズ比1.18(95%信頼区間(CI)1.06~1.33),p=0.001],閾値は28°であった[感度=0.79,特異度=0.60,area under the curve(AUC)=0.73].LCEAが28°未満である患者の割合は,JICタイプC1,C2において,タイプAおよびタイプBの患者よりも大きかった(p=0.006,0.001).
結 論:冠状面での寛骨臼被覆率を表すLCEAは,ONFH患者における大腿骨頭圧潰と関連している可能性が示唆された.しかし,圧潰群と非圧潰群におけるLCEAの差は4°程度と小さく,寛骨臼被覆以外の要因も考慮する必要があり,さらなる調査が必要である.
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