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成人脊柱変形患者における手術時組織損傷が側方進入腰椎椎体間固定術後の大腿症状発生に与える影響
Effect of unintended tissue injury on the development of thigh symptoms after lateral lumbar interbody fusion in patients with adult spinal deformity:a retrospective case series
大和 雄
1
Y. Yamato
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University, School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
lateral lumbar interbody fusion
,
adult spinal deformity
,
thigh symptom
Keyword:
lateral lumbar interbody fusion
,
adult spinal deformity
,
thigh symptom
pp.1273-1277
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1273
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【要 旨】
目 的:成人脊柱変形患者において腰椎側方進入椎体間固定術(LLIF)時に,ケージ沈下,ケージ逸脱,大腰筋内血腫が術後の大腿部症状に及ぼす影響を明らかにすることが本研究の目的である.
対象および方法:成人脊柱変形に対してLLIFと後方矯正固定術の二期手術を施行した患者を対象とした.LLIF施行後にCTとMRIを施行し,ケージ沈下,ケージ逸脱,大腰筋の血腫を調べた.LLIF後の大腿症状の発現を評価し,組織損傷が大腿症状の発現に及ぼす影響を検討した.
結 果:全体で130例の患者(男性17例,女性113例,平均年齢68.7歳)を解析した.大腿部の症状は52例(40.0%)に認められ,そのうち筋力低下が20例(38.5%),対側の症状は9例(17.3%)であった.大腿症状がみられた患者群では,L4/L5レベルへのLLIF施行,右側からのアプローチ,大腰筋の術後血腫が有意に多かった.大腿症状出現の有意な危険因子は,血腫[p=0.043,オッズ比2.27,95%信頼区間(CI)1.03~5.01]と右側からのアプローチ(p=0.014,オッズ比2.64,95%CI 1.21~5.75)であった.筋力低下の有意な危険因子はケージ位置の異常であった(p=0.012,オッズ比4.12,95%CI 1.37~12.4).
結 論:LLIF中の意図しない組織損傷が大腿症状と関連していた.大腰筋の血腫とケージの位置異常がそれぞれ大腿症状と筋力低下に関連する因子であった.
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