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【要 旨】
目 的:Lenke分類type 2Aカーブの思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis:AIS)において,術後肩バランス不良を生じる手術関連因子を明らかにすることである.
対象および方法:後方矯正固定術が行われたLenke分類type 2AカーブのAIS患者のデータを,国内6施設から後ろ向きに抽出した.手術時年齢10~20歳,upper instrumented vertebra(UIV)はTh2,主胸椎カーブ(main thoracic curve:MTC)は40°~90°,術後24~30ヵ月の経過観察期間を取り込み基準とし,患者因子,手術因子,術前・術直後のX線パラメータを解析した.固定下端椎体(lowest instrumented vertebra:LIV)がlast touching vertebra(LTV)またはその近位であった場合を選択的胸椎固定術[selective thoracic fusion(STF)-LTV]群と定義し,LIVがLTVよりも遠位にある場合を非選択的胸椎固定術(non-STF-LTV)群と定義した.統計解析は,単変量解析の後,多変量ロジスティック回帰分析を用いた.
結 果:術後経過観察期間が平均25.6ヵ月の99例のAIS患者のうち,postoperative shoulder imbalance(PSI)は術直後27例(27.3%),24~30ヵ月で17例(17.2%)に生じていた.単変量解析より,PSIの危険因子は,non-STF-LTVかつ高いMTC矯正率(術直後のMTC矯正率≧70%)であり,PSI発生率は40.0%であった.多変量ロジスティック回帰分析より,non-STF-LTVかつ高いMTC矯正率の交互作用項がPSIの独立した危険因子であることが明らかとなった(オッズ比5.167,95%信頼区間1.470~18.159,p<0.010).
結 論:Lenke分類type 2AカーブのAIS患者においてPSIを防ぐためには,上位固定端をTh2とした場合,non-STF-LTVと高いMTC矯正率の組み合わせを避ける必要がある.
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