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人工股関節全置換術後の腰痛改善と関連する術前脊椎因子
Preoperative factors associated with low back pain improvement after total hip arthroplasty in a Japanese population
奥津 弥一郎
1
Y. Okuzu
1
1京都大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
low back pain
,
hip-spine syndrome
,
THA
Keyword:
low back pain
,
hip-spine syndrome
,
THA
pp.818-821
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_818
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【要 旨】
目 的:人工股関節全置換術(THA)後の腰痛改善と関連する術前脊椎因子を同定することである.
対象および方法:2015~2019年に当院でTHAを行った症例で,術前腰痛visual analog scale(VAS)が2以上の患者を対象とした.術前腰痛は術前1ヵ月,術後腰痛は術後1年に調査した.腰痛改善群は,腰痛VASの改善>2あるいは術前腰痛VAS:2から術後腰痛VAS:0の症例とし,腰痛持続群は,腰痛VASの改善≦2の症例と定義した.調査項目は術前全脊椎立位X線像を用いて,脊椎パラメータを調査し,臨床スコアとしてHarris Hip Score(HHS),Oxford Hip Score(OHS),University of California,Los Angeles(UCLA)活動性スコアを調査した.
結 果:術前腰痛VAS≧2であった151例のうち95例(62.9%)が腰痛改善群となった.多変量解析で腰痛改善と関連のある術前脊椎因子は,小さいCobb角(単位オッズ比:0.95,p<0.01),大きいanterior pelvic plane(APP)角(単位オッズ比:1.04,p=0.03)であった.また,2群間で術前腰痛VASや術前臨床スコアに有意差はなかったが,術後臨床スコアはいずれも腰痛改善群で有意に良好であった.
結 論:THA前に腰痛のある患者において,62.9%がTHA後1年で腰痛が改善した.術後腰痛改善と関連する術前脊椎因子は小さい側弯と骨盤の前傾であった.術後臨床スコアとも関連するため,術前に腰痛のある患者においては脊椎アライメントの評価が重要である.
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