骨Paget病の診断と治療

Diagnosis and management of Paget’s disease of bone in adults

は じ め に

　骨Paget病（PDB）は，本邦ではきわめてまれなため，診断・治療経験のある医師は少ないが^1），効果的な治療薬があり，早期の診断と治療で機能障害にいたらない良性疾患である．自身で診断・治療までできなくとも，鑑別診断として疑い，経験豊富な医師に診断を依頼するところまでは全員ができるように学んでほしい疾患である．

　PDBの関連病態として，高アルカリホスファターゼ（ALP）を伴う骨肥大症［osteoectasia with hyperphosphatasia（juvenile Paget disease）］，earlyonset PDB，familial expansile osteolysis（FEO），expansile skeletal hyperphosphatasia（ESH）といった家族性で若年期より発症する病態^2,3）は，病態・病状が異なるとともに若年期に診断にいたるので本稿では扱わず，まず本邦のPDBのほとんどを占める，高齢者で発症がみられるPDBについて学ぶ．