Japanese
English
経験と考察
超高齢者の大腿骨頚部骨折術後の生命予後と歩行能力
Life prognosis and ambulatory ability after surgery in super-old patients with femoral neck fractures
中山 善文
1
,
金井 章
2
,
山本 康洋
3
,
米川 正洋
3
Y. Nakayama
1
,
A Kanai
2
,
Y. Yamamoto
3
,
M. Yonekawa
3
1光生会病院リハビリテーション科
2豊橋創造大学保健医療学部理学療法学科
3光生会病院整形外科
1Dept. of Rehabilitation, Kouseikai Hospital, Toyohashi
キーワード:
super-old
,
femoral neck fracture
,
life prognosis
,
ambulatory ability
Keyword:
super-old
,
femoral neck fracture
,
life prognosis
,
ambulatory ability
pp.1245-1249
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1245
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
わが国の2021年時点での高齢者(65歳以上)の割合は28.8%と報告されている1).2036年には33.3%,2065年には38.4%に増加し,90歳以上の超高齢者の割合も増加すると予測されている2).骨粗鬆症および関連骨折患者数は増加すると推測され,生命予後と機能予後に大きな影響を与える大腿骨近位部骨折3)の治療機会も増加すると考えられる.
Orimoら4)は,わが国の大腿骨近位部骨折患者の5年ごとの推移を調査し,70歳代と80歳代は減少傾向,90歳以上では増加傾向と報告し,この要因として,骨粗鬆症の啓発や薬物治療の効果が一因である可能性を指摘している.厚生労働省の調査5)では,骨形成促進薬である副甲状腺ホルモン製剤の使用量は,80~85歳がピークでそれ以降の年齢では減少しており,70,80歳代と比較して90歳以上の超高齢者に対しては,積極的な骨粗鬆症治療が行われていないことが示唆される.
『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021』6)では,生命予後においても機能予後においても手術的治療の成績が保存的治療の成績を上回っているため,ほとんどの症例で手術的治療が選択されるべきとしている.しかし,超高齢者(90歳以上)では合併症を有する率が高く,運動機能も低いことが多いため,手術的治療の有用性は明らかではない.
本研究では,超高齢者の大腿骨頚部骨折について,術式の違いによる生命予後と術後歩行能力,ならびに術後歩行能力獲得に及ぼす因子を明らかにすることを目的とした.
© Nankodo Co., Ltd., 2022