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連載 卒後研修講座
上腕骨近位部骨折の髄内釘骨接合術
-――インプラント選択のポイントとその手術手技
Intramedullary nailing for proximal humerus fractures:points of implant selection and its surgical techniques
井上 尚美
1
H. Inoue
1
1仙台徳洲会病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Sendai Tokushukai Hospital, Sendai
キーワード:
proximal humerus fracture
,
intramedullary nailing
,
surgical technique
Keyword:
proximal humerus fracture
,
intramedullary nailing
,
surgical technique
pp.1183-1192
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1183
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は じ め に
1950年にCharnley1)は,上腕骨近位部骨折に対して徒手的に近位骨片の整復を得る方法はないが,観血的整復を試みることの問題点として,上腕骨近位部骨折は高齢者に多く,観血的に整復できても整復位を保持することが困難であること,肩関節の線維性強直にいたる例があることをあげている.転位があっても,早期に運動療法を行うことで肩関節レベルまでの挙上は獲得でき,神経血管損傷を合併した場合のみ手術的治療を行うと述べている.1970年にNeer2,3)は,自らの分類をもとに1-part骨折,2-part骨折は保存的治療が可能であるが,3-part骨折,4-part骨折では成績不良で骨接合術,人工骨頭置換術などの手術的治療を推奨している.
本邦では上腕骨近位部骨折に対する骨接合術として,2000年より上腕骨近位部骨折用髄内釘(short humeral nail:SHN)4),2001年よりロッキングプレート(locking plate)5)が使用可能となり,治療成績が改善した.またNeer分類4-part骨折には,上腕骨人工骨頭置換術(humeral head replacement:HHR)が行われていた.2014年よりリバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)が本邦でも使用可能となり,2019年より上腕骨近位端骨折にも適応となった.現在の上腕骨近位部骨折に対する治療の選択肢は,保存的治療,骨接合術,人工物置換術である.本稿では上腕骨近位部骨折の髄内釘骨接合術(髄内釘法)について述べる.
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