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は じ め に
骨粗鬆症診療において,治療継続と服薬遵守率の向上は,優れた治療成績を獲得するために必須である.しかし,実臨床において一定の割合で治療中断となる症例が存在する.テリパラチド連日自己注射製剤(daily-PTH製剤)は,優れた骨密度上昇作用を有する骨形成促進薬である.一方で,嘔気などの副作用や手技上の煩雑さが課題にあげられる.過去の報告でも,自己注射製剤は治療中断例が多く,治療継続率向上のためにさまざまな対策が行われてきた1).近年,日本骨粗鬆症学会は,超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献することをめざし,骨粗鬆症診療支援サービス(osteoporosis liaison service:OLS)を提唱した2).
当院では,2015年より骨粗鬆症外来を開設し,日本骨粗鬆症学会認定医・骨粗鬆症マネジャーとともに包括的に地域での骨折予防に取り組んでいる.治療方針の決定は骨粗鬆症の診断基準に該当する患者に対し,薬物療法の必要性や治療に伴う副作用の説明を行い,患者の希望を尊重した薬剤選択を行っている.また,当院でのOLSの主なサポート体制は,薬物治療の導入前後の患者・家族の不安解消,投薬継続の重要性の説明,さらに治療期間中の手技の確認や相談などである.さらに治療継続率向上を目標の一つに掲げ,telephone support programによる支援を行っている.具体的には,治療開始時に患者・家族より同意を得て,予約日に来院しなかった患者に電話連絡を行っている.
本研究では,daily-PTH製剤を導入した患者の治療継続率について検討した.目的は,予約日に来院しなかった患者に対するtelephone support programの有効性を検討することと,治療中断例の患者の特徴を把握することである.
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