Japanese
English
経験と考察
変形性関節症重症度による化膿性膝関節炎の難治性予測
Outcomes of first surgical debridement for septic knee arthritis are affected by severity of existing osteoarthritis
野上 真紀子
1
,
下条 竜一
1
,
峯 隼人
1
,
川口 善治
1
M. Nogami
1
,
R. Gejo
1
,
H. Mine
1
,
Y. Kawaguchi
1
1富山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, University of Toyama, Toyama
キーワード:
septic knee arthritis
,
OA
,
Kellgren-Lawrence classification
,
antibiotic-loaded acrylic cement
Keyword:
septic knee arthritis
,
OA
,
Kellgren-Lawrence classification
,
antibiotic-loaded acrylic cement
pp.1041-1043
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1041
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は じ め に
化膿性膝関節炎には変形性関節症(OA)の合併が一定数存在する.これらの症例では,難治化し複数回の手術的治療が必要になることで,治療期間が長期となる場合がある.安静入院期間が長引くと,関節拘縮や下肢筋力低下などの機能障害が生じ,感染鎮静化後に著しい日常生活動作(ADL)の低下を示すこともある.化膿性関節炎の手術的治療として,従来は切開排膿と関節デブリドマンを原則として,その後持続ドレナージや持続灌流が行われてきた1~3).
近年,人工関節置換術後感染に対して抗菌薬含有セメントを関節内留置する治療が広く行われるようになり,その効果も認められている4,5).これに伴い非置換関節における感染でも,難治例に対しては抗菌薬含有セメントによる治療方法が選択可能となった.しかし,その多くは初回または複数回の手術的治療と抗菌薬投与により感染鎮静化が得られなかった症例に対して行われるため,治療期間の短縮にはつながっていない6,7).従来法で治療可能な症例と抗菌薬含有セメント治療を要する難治例が予測できれば多数回手術を回避し,治療期間短縮と感染治癒後のADL維持につながる可能性がある.そこで本研究では,化膿性膝関節炎の手術的治療方法別に,膝OAの重症度および初回手術までの日数とその感染鎮静化率との関連について比較・検討した.
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