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特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅴ.医薬品/医療機器の開発
2.医療機器の臨床開発
Clinical development of medical devices
山本 晴子
1
H. Yamamoto
1
1国立循環器病研究センター
1National Cerebral and Cardiovascular Center, Suita
キーワード:
medical device
,
R & D
,
Pharmaceutical Affairs Act
Keyword:
medical device
,
R & D
,
Pharmaceutical Affairs Act
pp.658-662
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_658
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は じ め に
世界では,先進国の高齢化と新興国の医療需要拡大を受けて,医療機器市場が約8%の成長率を維持しており,今後も拡大が続くと予想されている.一方,国内では成長率が高く市場規模も大きい治療機器で輸入超過が続いており,わが国のものづくりにおける高い技術と経験があまり活かされていない.政府は官邸の健康・医療戦略推進本部において次世代医療機器開発推進協議会を開催するなど,医療機器の研究開発に注力しているが,革新的医療機器開発が飛躍的にすすんでいるという印象は,現場ではいまだあまり感じられない.
医療技術の開発というと,どうしても医薬品の開発を思い描く人が多いが,医療機器は医薬品の開発とまったく異なるアプローチが必要である.欧米では,アカデミアで開発されたシーズをパイロット的に開発し,最終的な製造販売業者に渡す役割を果たす研究開発型ベンチャー企業が活発だが,国内ではこの役割を担うプレーヤーが乏しいことも,医療機器開発がすすみにくい一因となっている.筆者の所属する国立循環器病研究センターは2011年から5年間にわたり早期探索的臨床試験拠点に選定され,特に循環器領域の革新的なハイリスク治療機器の開発とともに,医療機器開発がすすみやすい環境作りに取り組んだ.本項では,その経験をふまえ,主としてハイリスク治療機器を念頭におき,医療機器の臨床開発について解説する.
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