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連載 臨床研究の知識update
(5)脳神経外科領域の医療機器開発への期待
(5)Expectation for Development of Neurosurgical Devices
根木 宏明
1
,
河原﨑 秀一
1
,
相澤 浩一
1
,
石井 健介
1
Hiroaki NEKI
1
,
Shuichi KAWARASAKI
1
,
Koichi AIZAWA
1
,
Kensuke ISHII
1
1独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器ユニット医療機器審査第二部
1Office of Medical Devices Ⅱ, Medical Devices Unit, Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
キーワード:
medical device
,
real world data
,
clinical innovation network
,
registry
,
regulatory science
Keyword:
medical device
,
real world data
,
clinical innovation network
,
registry
,
regulatory science
pp.688-694
発行日 2019年6月10日
Published Date 2019/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204005
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Ⅰ.医療機器開発とは
脳神経外科領域における医療機器は,脳神経という特殊性ゆえにその他の臓器と相違点が多く,希少疾患も多いため,対象集団が少なくより一層市場が小さくなる.そのため開発企業は限定的であり,さらに企業の開発意欲が高い領域とは言えず,医療機器開発において良好な環境とは言いがたい.一方で,脳神経外科疾患は患者のquality of lifeに直接影響を及ぼすため,低侵襲で有効性の高い治療や根治的な治療が求められており,医薬品以上に医療機器開発が必須の領域でもある.
医療機器開発の原点は医療現場のニーズや異業種がもつシーズに基づくものであって,医学・薬学のみならず工学的な要素も多く含まれ,製品そのものを構成する素材や材料の幅も広い.そのため医療機器開発においては医療現場のニーズが先行し,それを解決するシーズとの結びつきによるところが大きい.まさに「医工連携」という言葉が現在は当然のように使われる.欧米ではバイオ・メディカル・エンジニアリングという医学と工学が融合した学問が確立している.しかし,わが国の医学はこれまで臨床に重きが置かれ,医療機器開発の学問は育っていなかった.現在は,米国アカデミアのbio-designプログラムがわが国にも取り入れられ,学問として少しずつ育ちつつある.
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