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特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅱ.臨床研究のデザイン
2.生物統計家へのコンサルテーション
How to involve a biostatistician in your clinical trial
森田 智視
1
S. Morita
1
1京都大学大学院医学研究科医学統計生物情報学
1Dept. of Biomedical Statistics and Bioinformatics, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
clinical trial design
,
biostatistician
,
study protocol
,
study endpoint
Keyword:
clinical trial design
,
biostatistician
,
study protocol
,
study endpoint
pp.520-522
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_520
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は じ め に
臨床研究結果の論文を投稿すると,査読の過程で統計解析に関するコメントが付されることがよくある.臨床家にとって避けることができるなら避けたいものかもしれない.統計学について系統的に修得し,ある程度の経験を積めば統計的な査読コメントにも的確に対応できるのかもしれない.しかしながら,臨床家は統計学そのものを理解したいわけではないであろう.自らの臨床的疑問を調べるためにどのように研究計画を立て,収集したデータをどのように解析していくか,その手順を知りたいと思っているのではないであろうか.そのためには,自らが抱いた「臨床的疑問」を明確にまとめることから始め,それをデータ分析に変換していくプロセスを理解することが鍵になる.生物統計あるいは医学統計はその際に役に立つ道具の一つとして位置づけることができる.
臨床研究は,臨床的疑問を調べるために行われる.臨床研究を行ううえで重要なのは,研究開始前に実施計画を十分に検討しておくことと,研究目的に対応した適切なデータ解析を行うことであろう.そのためには,研究の目的などを記載した研究実施計画書(プロトコル)の作成を欠かすことはできない(図1).研究の目的から始まり,対象となる患者集団,治療方法,評価指標(エンドポイント),必要症例数,統計(データ)解析などを記載する.特に必要症例数,統計(データ)解析を検討する際には,生物統計家へのコンサルテーションは重要なポイントになる.
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