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【要 旨】
目 的:両十字靱帯機能温存型人工膝関節全置換術(BCS-TKA)は,二重のポストカム機構により前十字靱帯(ACL)および後十字靱帯(PCL)を代償し,さらに生理的な関節面形状を有することで正常膝に類似した回旋・後方移動を誘導することが期待されている.しかし,BCS-TKA膝のキネマティクスが荷重によってどのような影響を生じるかについては明らかにされていない.本研究の目的は,深屈曲動作においてBCS-TKA膝が荷重の影響をどのように受けるのか明らかにすることである.
対象および方法:BCS-TKAを受けた11膝を対象とした.術後に側面方向からX線透視装置で撮影し,2D/3Dレジストレーション法で三次元動態解析を行った.荷重下動作(WB)としてスクワット動作を,非荷重下動作(NWB)としてactive assisted knee flexion動作を撮影し比較した.各屈曲角度における脛骨コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの回旋角度,内外側最近接点の前後位置,前後のpost-cam engagement(AEおよびPE)の有無について評価した.
結 果:WBでは-0.7°±2.6°~106.7°±16.1°まで屈曲し,NWBでは0.9°±3.1°~119.5°±9.8°まで屈曲していた.回旋角度に有意差はなかった.内側はWBでは屈曲10°まで3.1±1.3mm後方移動し,80°からさらに2.1±1.2mm後方移動した.NWBでは屈曲50°から3.5±2.0mmに後方移動した.屈曲30°~60°でWBが後方にあった.外側はWBでは屈曲10°まで7.1±2.2mm後方移動し,80°からさらに3.1±1.5mm後方移動した.NWBでは屈曲20°まで5.3±2.8mm後方移動し,50°以降さらに8.8±2.4mm後方移動した.屈曲40°~70°ではWBが後方にあった.AEはWBで6膝にみられ,屈曲9.5°±8.4°まで接触していた.NWBでは4膝にみられ,9.9°±2.0°まで接触していた.PEは全例でみられ,WBは68.4°±15.2°,NWBは43.7°±13.9°まで接触していた.
結 論:WBでは中間屈曲領域で最近接点が内外側ともに後方にあったが,前方移動はほとんどみられなかった.BCS-TKA膝は深屈曲荷重動作において良好な安定性を示していた.
© Nankodo Co., Ltd., 2020