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は じ め に
2005年ごろから経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw:PPS)は本邦で使用できるようになり,その適応は腰椎変性疾患だけでなく,感染性脊椎炎,転移性脊椎腫瘍,脊椎骨盤外傷,さらには成人脊柱変形にまで拡大されてきており,近年急速に広まっている1,2).
また2013年以降,低侵襲側方進入椎体間固定手技(lateral lumbar interbody fusion:LIF)であるextreme lateral lumbar interbody fusion(XLIF),oblique lumbar interbody fusion(OLIF)が導入され,現在,前方手技の発展がめざましい.
LIFでは脊椎が本来有する靱帯や後方成分を温存しつつ椎体横径に大きなケージを選択可能となったことで,狭小化した椎間高を回復することができるようになり,間接除圧効果の有用性が報告されている3,4).ケージ内に使用する移植骨については,自家腸骨の使用が多いと考えるが,術後の採骨部痛などの合併症が報告されることから,施設によっては多孔質ハイドロキシアパタイト/コラーゲン(リフィット:HOYA Technosurgical社,東京)のみを充塡し,その骨癒合率がおおむね良好であることが報告されている5).一方で,同種骨移植の可能性が考えられても日本では骨銀行のある限られた施設でしか使用できないという問題があった.そのような背景から,2019年2月から本邦で使用可能になったヒト脱灰骨基質使用吸収性骨再生用材料(グラフトンDBM:Medtronic社,Dublin)は,海外において骨癒合率が高いことが知られ,今後LIFでの使用が増加することが予想される(図1).
LIF後は椎間安定性維持のために後方からの脊椎固定術を行うが,その際に使用するのはPPSである.PPSの挿入にあたり術中に側臥位から腹臥位に体位変換を要することから,麻酔科や医療スタッフの負担,手術時間が長くなることや医療コストが多くかかるなどの問題点があった.近年では側臥位PPSの報告が散見されるようになってきたが,それらはO-アームやナビゲーションなどの特殊な医療機器を用いた方法であったり6),ガイドワイヤを用いた第三世代までのPPSを用いた手技であり7),透視装置と患者の背部までのワーキングスペース確保のため一定の配慮が必要であった.
このような背景のもと,グラフトンDBM Puttyを用いたLIFと新たに開発されたPPSシステム(Viper Prime:Depuy Synthes Spine社,Raynham)を用いた側臥位手技(XLIF+側臥位PPS)がこれらの問題を解決するうえで有用ではないかと考えた.本稿では,われわれの小経験について報告する.
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