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特集 子どもの運動器障害――学校検診から日常診療まで
Ⅲ.徴候・症状別の診察から診断まで
4.下肢痛や跛行をきたす病態と診察の仕方
How to evaluate with lower limb pain and limp in children
瀬川 裕子
1
Y. Segawa
1
1東京医科歯科大学整形外科
1Dept. of Orthop. and Spinal Surg., Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
limp
,
leg aches
,
growing pains
Keyword:
limp
,
leg aches
,
growing pains
pp.548-553
発行日 2019年5月10日
Published Date 2019/5/10
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_548
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は じ め に
小児に下肢痛や跛行をきたす疾患は,重症度の低いものから高いものまで多岐にわたり(表1)1~3),診断は容易ではない.診察を行う際には,系統立ち順序立った診察を行い,見逃しや診断の遅れの可能性を少しでも減らすように努める.
下肢痛があれば跛行を呈することが多い.本稿では主に跛行の観点から,小児の診察の仕方,検査,念頭におくべき鑑別疾患などを総論的に述べる.
コミュニケーションがとれ,こちらの指示を理解して反応してくれる年齢(おおむね5歳以降)であれば診察は比較的容易であるが,年少児の診察は容易ではない.医療者が近づくだけで激しく泣く,歩容を確認したくても歩いてくれない,痛みがなく元気すぎるために診察がむずかしいなど,医療者にとっては心が折れそうになる場面は多い.しかし,そのような場合でも安易に「大丈夫」とせず,辛抱強く可能な範囲で診察を行い,得られた所見から診断を推測していくことが大切と筆者は考えている.
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