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特集 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法(動画付き)
第6章 末梢神経疾患
肘部管症候群とギヨン管症候群の診察法
Examination Method for Cubital Tunnel Syndrome and Guyon's Canal Syndrome
井汲 彰
1
Akira IKUMI
1
1筑波大学医学医療系整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Institute of Medicine, University of Tsukuba
キーワード:
肘部管症候群
,
cubital tunnel syndrome
,
ギヨン管症候群
,
Guyon's canal syndrome
,
尺骨神経障害
,
ulnar neuropathy
Keyword:
肘部管症候群
,
cubital tunnel syndrome
,
ギヨン管症候群
,
Guyon's canal syndrome
,
尺骨神経障害
,
ulnar neuropathy
pp.975-982
発行日 2024年1月19日
Published Date 2024/1/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202233
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はじめに
絞扼性神経障害は,靭帯や腱性構成物によってつくられた線維性あるいは骨線維性トンネルの中を末梢神経が通る際に,何らかの原因(病因)と機械的刺激によって生じる末梢神経障害である.
肘部管症候群では,上腕骨内側上顆後面の尺骨神経溝から尺側手根屈筋の二頭間(尺骨頭と上腕骨頭)にある腱性アーチ(Osborne靭帯)までの「肘部管」で,ギヨン管症候群では手関節部の豆状骨と有鉤骨鉤の間にある骨線維性トンネルである「尺骨神経管(ギヨン管)」で尺骨神経が絞扼されることで発症する(図 1).
どちらの疾患も「環・小指のしびれ」を主訴に医療機関を受診する場合が多いものの,同様の症状を呈する疾患として,頸椎神経根症,Pancoast症候群,下位型腕神経叢損傷,胸郭出口症候群など多数の疾患が存在する.したがって,これらの疾患と肘部管症候群・ギヨン管症候群をきちんと鑑別するためには「詳細な問診」と「正しい身体所見」をとることが重要である.
本稿では,肘部管およびギヨン管症候群の主な病因と,他疾患との鑑別診断の進め方を解説した後に,各診察法の詳細について述べる.
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