Japanese
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連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング
神経・筋疾患(末梢神経麻痺を含む)
Neuromuscular disorder
柿木 良介
1
R. Kakinoki
1
1近畿大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kindai University Faculty of Medicine, Osakasayama
キーワード:
spontaneous interosseous nerve palsy
,
hour-glass constriction
,
neuralgic amyotrophy
Keyword:
spontaneous interosseous nerve palsy
,
hour-glass constriction
,
neuralgic amyotrophy
pp.1000-1007
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1000
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症 例.34歳,男.税理士.
主 訴:右手指の伸展不能.
家族歴:両親,兄弟姉妹とも健康で,特記すべきことはない.
既往歴:16歳時に右膝半月板損傷で,手術を受けている.
現病歴:企業決算時期で,1ヵ月ぐらい深夜にまで及ぶ仕事が続いた.1週間前より風邪気味であったが,3日前,急にひどい右肩の疼痛が出現した.肩の凝りと思い,近医で湿布と鎮痛薬の投与を受けた.前日より右肩の疼痛が軽減してきたが,受診当日の朝に右指が伸展しないことに気づいたため,再度近医を受診し,神経麻痺の診断のもと当院を紹介され受診となった.
初診時所見:右手関節は背屈できるが,やや橈屈した.右指,右手関節の屈曲力には問題がなかった.特に右手にしびれや知覚低下はなかった.
身体所見:右手関節背屈は筋力徒手テスト(MMT)4,右手関節掌屈はMMT 5,右示指-小指伸展はMMT 0,右長母指伸筋はMMT 0,右前腕回外はMMT 5,右示指-小指深指屈筋はMMT 5,右示指-小指浅指屈筋はMMT 5,右手関節背屈位,右手示指-小指中手指(MP)関節屈曲位で示指-小指近位指節間(PIP)関節,遠位指節間(DIP)関節の伸展は可能でMMT 5,右母指外転筋力はMMT 2であった.Tinel徴候は,右肘関節部近位部2cmで正中よりやや外側にあった.
知覚障害はなかった.握力右4.8Kg,左32.8Kgであった.
当院初診時の右手指伸展(左),右手関節伸展(右)を命じたときの肢位を示す(図1).手指MP関節の伸展はできなかった.
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