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アドレノメデュリン
高野 昇太郎
1
,
内田 健太郎
1
,
髙相 晶士
1
1北里大学医学部整形外科
pp.938-938
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_938
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滑膜は関節腔を裏打ちする組織であり,その細胞は主にマクロファージと線維芽細胞とで構成される.滑膜マクロファージはinterleukin-(IL-)1β,IL-6,tumor necrosis factor-α(TNF-α)といった種々の炎症性サイトカインを産生し,関節における炎症や疼痛を惹起する.また,滑膜炎は変形性関節症(osteoarthritis:OA)や関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)といった関節疾患において,関節破壊に寄与するとされている.これらのことから,滑膜におけるこれらの炎症性サイトカインの制御機構を解明することは,関節疾患の病態の解明に繋がると考えられる.
アドレノメデュリン(adrenomedullin:AM)は,52個のアミノ酸からなる血管拡張ペプチドであり,1993年にKitamuraらによってヒトの褐色細胞腫から発見された1).AMはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)ファミリーに属しており,炎症に際して血管平滑筋細胞や内皮細胞から分泌され,炎症のプロセスにおいて重要な役割を担っているとされている.整形外科疾患においては,OA患者およびRA患者では健常人と比較して血中のAM濃度が上昇し,またOA患者の血中および関節液中のAM濃度は,X線学的重症度(Kellgren/Lawrence grade)と相関するといった報告2,3)がなされている.
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