私論
五十肩の学術用語としての「疼痛性肩関節制動症」
三笠 元彦
1
1新横浜整形外科リウマチ科クリニック理事
pp.918-918
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_918
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五十肩の学術用語をどのようにするかを,1977年ごろ,高岸直人先生,信原克哉先生と話し合ったことがあった.高岸先生は,神中正一教授が『神中整形外科学』初版で,「五十肩は病理解剖学的研究がいまだ不十分で十分解明されていない疾患であるので,しばらく五十肩なる通俗的病名で記載する」と書かれている1)ので,五十肩をしばらく学術用語として認めるべきであるという考えであった.信原先生は,学術用語は「肩関節周囲炎」として,五十肩は拘縮あるものに限定するといわれた.筆者は五十肩と肩関節周囲炎が同じように使われているので,五十肩はしばらく学術用語として残してもよいのではないかと述べた.
それから40年が経過したが,五十肩は学術用語として日本整形外科学会の『整形外科学用語集』に載っている.『神中整形外科学』の御託宣から80年近くたっており,そろそろ神中先生の御託宣から脱却してよいのではないかと,過日信原先生と話し合った.病理解剖学的研究も十分行われてきたし,関節鏡的検査,手術所見で病態も十分検討されており,五十肩の学術的用語を考えてよいのではないだろうか.
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