喫茶ロビー
医学書の横書きと片仮名文
三笠 元彦
1
1新横浜整形外科リウマチ科クリニック理事
pp.888-888
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_888
- 販売していません
- 文献概要
文芸書は縦書きで,医学書は横書きである.『日本医事新報』(日本医事新報社)が2011年3月号まで医学書として,縦書きで頑張っていたが,現在は横書きとなって医学書はすべて横書きとなった.文芸書が縦書きなのは,歴史的に大陸からきた書物が縦書きであったことから始まると考えられるが,医学書の横書きはいつから始まったか定かではない.縦書きの文を読むときの目の動きは目が上下に動くが,横書きは目が左から右に動く.目は上下に動いた方が左右に動くより疲れないそうである.
さらに文芸書と医学書の違いは,文芸書は送り仮名が平仮名で,医学書はある時期まで片仮名であった.松尾芭蕉の『おくの細道』,夏目漱石,芥川龍之介の小説は送り仮名は平仮名であるが,福澤諭吉の『学問のすゝめ』は,明治5年(1872年)の初版では片仮名である.そのころ一般に庶民が読む文芸書は平仮名で,専門家が読むと思われる医学書は専門性を強調するために(?)片仮名であったようである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018