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連載 卒後研修講座
最新の変形性股関節症に関するエビデンス
Evidence on the latest state of osteoarthritis of the hip
高平 尚伸
1,2
N. Takahira
1,2
1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
2北里大学大学院整形外科
1Dept. of Rehabilitation, Kitasato University School of Allied Health Sciences, Sagamihara
2Dept. of Orthop. Surg., Kitasato University Graduate School of Medical Sciences, Sagamihara
キーワード:
the hip
,
osteoarthritis
,
evidence
Keyword:
the hip
,
osteoarthritis
,
evidence
pp.759-767
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_759
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は じ め に
変形性股関節症(OA)は,股関節に対する力学的あるいは生物学的な原因によって関節軟骨の変性が惹起され,引き続き関節周囲の骨変化および二次性の滑膜炎を生じて股関節の変形が徐々に進行するに伴い,疼痛,圧痛,可動域(ROM)制限,関節水腫などの症状を生じる非炎症性疾患である1).わが国での股関節症の進行度の判定には,単純X線像による日本整形外科学会股関節症病期分類が使用されており,前,初期,進行期,末期に分けられている(図1).また,OAは「整形外科専門研修カリキュラム」の中で,最低5例以上経験すべき疾患としてあげられている2).しかしながら,診療ガイドラインが発行されるまでは各医師の経験や知識で診断や治療が行われていた.『変形性股関節症診療ガイドライン』は2008年に初版が発刊され,改訂版は2016年に上梓された3).初版のガイドラインの策定におけるエビデンスとは,検索結果から選択された論文を,ランダム比較試験(RCT)やケースシリーズなどの研究デザイン,症例数,経過観察期間などからエビデンスレベルを決定していたが,最新の方法では,複数の論文からシステマティックレビューで得られた総体評価を行い,「益と害」といったプラスマイナスのバランスを考慮してエビデンスレベルを決定している.また,作成された推奨文についてもオピニオンリーダーであるガイドライン策定委員による投票で意見の一致をもって合意としている.
本稿では,『変形性股関節症診療ガイドライン(改訂第2版)』をもとに,最新のOAに関するエビデンスについて述べる.
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