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尺骨鉤状突起への関節包付着部の解剖学的研究
-――O’Driscoll分類typeⅠ骨折との関連
Joint capsule attachment to the coronoid process of the ulna;an anatomic study with implications regarding the type 1 fracture of the coronoid process of the O’Driscoll classification
志村 治彦
1
H. Shimura
1
1東京医科歯科大学整形外科
1Dept. of Orthop. and Spinal Surg., Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
joint capsule
,
coronoid process
,
anatomy
Keyword:
joint capsule
,
coronoid process
,
anatomy
pp.172-174
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_172
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【要 旨】
目 的:尺骨鉤状突起骨折O’Driscoll分類の先端骨折typeⅠは,骨片が2mm以下のsubtypeⅠと2mmより大きいsubtypeⅡに分けられている.SubtypeⅠでは治療の必要性がないといわれているが,鉤状突起に付着する関節包との関連については正確に理解されていない.本研究の目的は,鉤状突起と関節包の解剖学的関係を明らかにすることである.
対象および方法:解剖実習体17肘を用いた.10肘で肉眼解剖学的観察を行い,関節包付着部の長さを橈側と尺側でそれぞれ測定した.5肘でバンドソーを用いて矢状断面の観察を行い,関節包付着部より近位の骨成分と軟骨成分の長さを測定した.組織標本2肘で関節包の厚さを測定した.
結 果:鉤状突起の橈側での関節包付着部の長さ(11.9mm)は,尺側での長さ(6.1mm)よりも長かった.関節包付着部の近位には1.9mmの骨成分,4.7mmの骨軟骨成分が存在した.鉤状突起の橈側の関節包の厚さは,近位付着部でそれぞれ0.6mm,0.3mm,鉤状突起先端上で2.6mm,1.7mmであった.
結 論:肘関節前方関節包は橈側において,尺側より幅広く付着していた.O’Driscoll分類の先端骨折subtypeⅡは関節包の付着部と骨軟骨成分を含んでいると考えられた.
© Nankodo Co., Ltd., 2018