上腕二頭筋長頭腱障害の予測因子 -――結節間溝の形態と肩甲下筋腱断裂

Predictive factors of long head of the biceps tendon disorders；the bicipital groove morphology and subscapularis tendon tear

【要　旨】

　目　的：上腕二頭筋長頭腱（long head of biceps tendon：LHB）障害は肩痛の原因の一つであるが，正確に診断することはむずかしい．本研究の目的は，術前画像から棘上筋腱断裂に関連するLHB障害の予測因子を同定することである．

　対象および方法：棘上筋断裂に対して鏡視下腱板修復術を施行した55肩を対象とした．術前CT・MRIを用いて結節間溝の形態，水腫，肩甲下筋腱断裂を評価した．LHBはLaffosse分類（grade 0～Ⅱ）を用いて評価し，gradeに対する予測因子を解析した．

　結　果：鏡視所見でのLHBはgrade 0が23肩，gradeⅠ 15肩，gradeⅡ 17肩であった．単変量解析では結節間溝の幅，内側の骨棘，肩甲下筋腱断裂がLHB障害と相関ありと判定され，多変量解析で結節間溝内側の骨棘と肩甲下筋腱断裂が予測因子と同定された．

　結　論：術前CT・MRIによる結節間溝の骨棘や肩甲下筋腱断裂は，棘上筋腱断裂に伴うLHB障害の診断に有用であることが示された．