Japanese
English
経験と考察
人工膝関節全置換術後の深部静脈血栓症に対してアピキサバンは有用である
Apixaban is effective for the treatment of deep venous thromboembolism after total knee arthroplasty
豊田 真也
1
,
金子 卓男
1
,
河野 紀彦
1
,
望月 雄大
1
,
池上 博泰
1
,
武者 芳朗
1
S. Toyoda
1
,
T. Kaneko
1
,
N. Kono
1
,
Y. Mochizuki
1
,
H. Ikegami
1
,
Y. Musha
1
1東邦大学整形外科(大橋)
1Dept. of Orthop. Surg., Medical School of Toho University;Ohashi, Tokyo
キーワード:
apixaban
,
DVT
,
TKA
,
direct oral anticoagulants(DOAC)
Keyword:
apixaban
,
DVT
,
TKA
,
direct oral anticoagulants(DOAC)
pp.1217-1220
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1217
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は じ め に
整形外科分野において,下肢手術,骨折や人工関節全置換手術には深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)が発生しやすく,DVT,肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)を合わせた静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)として病態解明や予防に注目が集まっている.
人工関節全置換術後に適切な予防を施行しないと,40~60%の患者にDVTを生じるといわれ1),PE患者の12%,DVT患者の6%は発症から30日以内に死亡するとの報告もある2).したがって,VTEに対しては適切な予防と治療が必須である.
VTEに対しては,従来より未分画ヘパリン,ビタミンK拮抗薬(ワルファリン),低分子ヘパリン,フォンダパリヌクスが使用されてきたが,これらには非経口投与であることに加え,特にビタミンK拮抗薬では至適治療域が狭く,定期的なモニタリングが必要であること,ほかの薬剤や食物との相互作用が大きいことなどの欠点があった.近年,直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)と呼ばれる薬剤が開発され,広く使用されるようになってきた.国内外の第3相臨床試験で,DOACは従来治療と比較して同等以上の効果と安全性が示されている3)が,人工関節全置換術後に発生したDVTに対するDOACの治療効果に関する報告は少ない.本研究の目的は,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)術後に発生したDVTに対してアピキサバンの信頼性,術後短期成績を評価することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018