私論
アキレス腱断裂治療の変遷の中で思うこと
安田 稔人
1
1大阪医科大学整形外科
pp.1278-1278
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1278
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8月の終わり,数日前から急に気温も下がり,秋の気配が漂い始めた.私のこの夏の一番の思い出は,山口県まで西日本医科学生総合体育大会(西医体)[バスケットボール部門]を観戦に行ったことである.息子の所属大学や母校の敗戦後も,最終日まで現地に残り西医体を満喫した.私自身の西医体の時の記憶と重なり,特別な時間を過ごすことができた.私は昨年(2016年),今年(2017年)と日本整形外科学会学術総会のバスケットボールの3 on 3の大会に出場した.来年も短時間でも出場したいものだが,後輩医師の何人かがアキレス腱を断裂しているので,私も断裂しないように祈るばかりである.
大学を卒業して来年で早30年,振り返ってみると私は大学院生時代からアキレス腱断裂の基礎研究に携わり,今日までその病態と治療に興味を注いできた.アキレス腱断裂は時代の中で「手術的治療」vs「保存的治療」の論争を繰り返してきたが,その結論は未だに出ていない.最近はさらに「早期運動療法」というキーワードが加わり,その治療パターンはさらに複雑化している.以前は膝上からのキャスト固定が推奨されたが,その後は膝下キャスト固定が主流となり,近年ではその外固定期間を短縮して,早期可動域(ROM)訓練や早期荷重が推奨される時代となった.私の整形外科医の時代は,まさにこの治療の変遷の波に飲み込まれている感がある.
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