特集 最近よく聞く他科の薬―先生の外来にこの薬を使っている患者さんがきますよ
第3章 血液
[抗悪性腫瘍薬(抗CD38モノクローナル抗体)]ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合(ダラザレックス®,ダラキューロ®),イサツキシマブ(サークリサ®)
半田 寛
1
1群馬大学大学院医学系研究科 血液内科学分野
pp.489-494
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_489
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▪ダラツムマブ(ダラザレックス®,ダラキューロ®)とイサツキシマブ(サークリサ®)は,骨髄腫細胞表面に高発現しているCD38抗原に結合することで,抗体依存性細胞障害(ADCC)活性,補体依存性細胞障害(CDC)活性,抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性,直接的なアポトーシス誘導,骨髄腫細胞の微小環境における免疫抑制細胞の減少などの複数のメカニズムにより骨髄腫細胞を死滅させるという革新的な効果を発揮する.
▪いずれも初発あるいは再発難治性多発性骨髄腫に対して,単剤またはほかの薬剤(プロテアソーム阻害薬や免疫調整薬)との併用で高い奏効率を示し,無増悪生存期間(PFS)さらに全生存期間(OS)を延長させることが報告されている.
▪注意点としては,投与時に発生するインフュージョンリアクション,治療期間中の感染症罹患リスク増加,B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化,赤血球膜上にも発現しているCD38にも結合するため輸血時のクロスマッチ試験の際には特殊な方法で試験を行う必要があることがあげられる.

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