特集 ここまでできる! プライマリケア―領域別で考えるプライマリケア医と専門医の役割
第5章:感染症
[嘔吐,腹痛,下痢]感染性腸炎
大路 剛
1,2
1神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座感染治療学分野
2神戸大学 都市安全研究センター
pp.752-755
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_752
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プライマリケアでここまでできる!
・プライマリケア領域における嘔吐・腹痛・下痢診療では,周囲への影響の有無の評価,患者個人の重篤化の除外,慢性下痢症であることの指摘が重要である.
・嘔吐ではとくに経皮吸収する農薬などの薬物,周囲に感染が広がるウイルス性腸炎などを考慮した診療が大切である.
・吐き気での虚血性心疾患,腹痛での糖尿病性ケトアシドーシス,解離性大動脈瘤や大動脈瘤破裂など重篤な疾患を極力除外しておくことが重要である.
・感染性腸炎と判断した場合は重症でないと考えるケースではほぼ抗菌薬は不要であるが,使用する場合も便培養を採取しておくべきである.
ここからは専門医に任せよう!
・長期間続く下痢では原虫性下痢症や自己免疫性の下痢症を考え,消化器内科専門医に早期に紹介すべきである.

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