書評
慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024
神田 隆
1,2
1脳神経筋センターよしみず病院 院長
2山口大学 名誉教授
pp.311-311
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_311
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- 文献概要
本書は,「慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013」の改訂版である.旧版の刊行から約11年が経過したが,この間,国際的に汎用されているEAN/PNSガイドラインが2021年に改訂され,Ranvier絞輪近傍蛋白に対するIgG4自己抗体を有する症例がノドパチーとして慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)の概念から外れ,維持療法としての免役グロブリン皮下注療法(SCIg)がほぼ確立するなどの変化があった.本改訂版の内容はEAN/PNSガイドラインの内容から大きく外れるところはないが,本ガイドライン作成委員会委員長の桑原聡先生が「序」に書かれているように,欧米とは医療体制,承認薬,保健医療制度,指定難病制度などに関して異なるところが多数あり,それを踏まえて本邦での診療にしっかりと配慮した記載が貫かれている.また,今回の診療指針は欧米の診療指針と異なり,CIDP,多巣性運動ニューロパチー(MMN)の疾患概念について,その確立の歴史から記載している.これらの疾患になじみの少ない読者にとっては非常に有意義なことと理解できる.
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