特集 どんと来い,肺がん診療―それぞれの立場で患者を支えるために
[Chapter 1] 肺がんup to date:どんと来い,最新の診断と治療
[Tea Break]TTF-1(-)肺がん
桐生 辰徳
1
1兵庫県立淡路医療センター 呼吸器内科
pp.188-188
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_188
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進行期非小細胞肺がんでは組織学的診断が治療戦略を決定するために重要である.甲状腺転写因子(thyroid transcription factor-1:TTF-1)は甲状腺や肺で認められる蛋白であり,肺腺がんの約70%に発現することから組織型確定のために免疫組織化学的マーカーとして用いられる1).興味深いことにTTF-1には発がんと細胞増殖抑制という相反する役割がある2).TTF-1喪失により脱分化と転移能の増強が誘導されるため,肺腺がんにおいてTTF-1(-)は転帰や治療効果の悪化と関連している3).TTF-1(-)はTTF-1(+)と比較して死亡リスクが高く,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)単剤やpemetrexedをベースとした化学療法などにおいて有効性の低下が報告されている4~8).
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