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第8章 神経
[多発性硬化症(MS)]MSの疾患修飾薬の進歩と髄鞘再生療法の可能性
関口 耕史
1
,
中原 仁
1
1慶應義塾大学 医学部神経内科
キーワード:
抗CD20抗体
,
髄鞘再生
,
ミクログリア
,
BTK阻害薬
Keyword:
抗CD20抗体
,
髄鞘再生
,
ミクログリア
,
BTK阻害薬
pp.686-689
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_686
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Summary
・多発性硬化症(MS)は原因不明の中枢神経系(CNS)脱髄疾患である.
・病態に関しては未解明な点も残るなか,治療開発が先行している分野であり,最初の疾患修飾薬(DMD)であるインターフェロンβ製剤もウイルス感染がMSの原因であるという誤った仮説に基づく臨床研究から始まっている.その後,実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルの開発などからT細胞が病態の主役と理解されてきたが,抗CD20抗体の活躍をみるとB細胞も主要な登場人物であると考えられる.
・MS治療開発は原因不明であることを前提に進み,患者からフィードバックを受けて行われてきた.
・残念ながら髄鞘再生に関しては実用化には至っていないが,今後はミクログリアを標的とした治療薬の開発も進むなか,髄鞘再生薬の必要性は減っていくことが予想される.
© Nankodo Co., Ltd., 2024