書評
ベクトル視点でやさしく読み解く 呼吸器外科手術解剖イラスト
里内 美弥子
1
1兵庫県立がんセンター 副院長/ゲノム医療・臨床試験センター長/呼吸器内科部長
pp.147-147
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_147
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- 文献概要
本書の書評執筆の依頼があった際に,「なぜ呼吸器内科医の私に?」と疑問を感じた.しかしながら,実際に手にとってみると,これは「肺の構造,とくに肺門部の構造を3Dで立体的に頭に入れるためのツール」でもあると認識した.第一印象は,術野のイラストであるにもかかわらず,グロテスクさが微塵も感じられず,むしろ可愛いとさえ感じた.色づけやグラデーションの妙だろうか? 本書なら,通勤電車で開いてもドン引きされないと思うし,実際に私自身が通勤時にも読ませていただいた.「呼吸器外科手術の基本」のパートでは,初めに血管系や気管支分岐のバリエーションも含めて基本解剖が概説され,本題の手術イラストをみながらでも基本解剖へと戻れる構成になっている.とくに,リンパ節の位置関係を示す基本解剖のイラストは,オペレーター目線の透視手法を加えたイラストであるためか,どのテキストよりも3Dでの構造を容易に理解でき,ここが本書の大きな特長であると感じた.
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