特集 患者の将来を見据えた実践的糖尿病診療―脱 “血糖屋さん” のススメ
[Chapter 2] 血糖値だけではないアプローチ
糖尿病患者における多要素介入(血圧・脂質・体重・禁煙)の実践
冨樫 弘文
1
,
石垣 泰
1
1岩手医科大学 医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野
キーワード:
体重管理
,
GLP-1受容体作動薬
,
減量・代謝改善手術
Keyword:
体重管理
,
GLP-1受容体作動薬
,
減量・代謝改善手術
pp.1112-1117
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_1112
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▪糖尿病患者の降圧目標である130/80mmHg未満を目指して,6g/日未満の食塩制限とともに,レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬,Ca拮抗薬,少量のサイアザイド利尿薬を中心に薬物治療介入を行う.
▪糖尿病患者では,一次予防の場合はLDL-C 120mg/dL未満,末梢動脈疾患や細小血管症合併,喫煙ありの場合はLDL-C 100mg/dL未満,二次予防の場合はLDL-C 70mg/dL未満を脂質管理目標とする.高LDLコレステロール血症管理を優先して,第一選択薬としてスタチン,次いでezetimibeを用い,さらに高トリグリセライド血症にはフィブラート系薬を用いる.
▪肥満を伴う糖尿病患者では,体重記録などで自己管理の意識向上を促し,SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬といった減量効果が期待できる糖尿病治療薬を優先的に用いることで血糖と体重への介入が可能となる.減量が困難な高度肥満症に対しては減量・代謝改善手術も考慮される.
▪禁煙に伴って血糖や体重の上昇がみられたとしても,将来的な動脈硬化性疾患発症や発がんリスク低下といったメリットが上回る.
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